第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。 弁護士法に明記された弁護士の使命と職務です。
正義というのは定義が難しいものです。各自の立ち位置によっては正義が悪であったりもします。社会正義は一般的に、公平で平等な社会を目指す上で必要な手段と言えます。
そして、社会正義の実現に必要なのが社会秩序の維持ということになります。文明社会で国家という社会に属する限り、ルールを尊重、遵守するという形式的正義は必須なのです。
この2つは私たちが安心して暮らせる社会を継続するためにとても重要な命題です。弁護士は弁護士法に定められたとおり、社会正義の実現と社会秩序の維持を目指すために活動する民間人の代表なのです。
当然の事ですが、弁護士は誰よりも法律に厳格でなくてはなりません。ところが「基本的人権を擁護する」ことが時として「社会秩序の維持」と対立する場面があります。刑事事件における弁護活動がそれです。
ゴーン弁護団の一人、高野隆弁護士は自身のブログで 「彼がこの1年あまりの間に見てきた日本の司法とそれを取り巻く環境を考えると、この密出国を『暴挙』『裏切り』『犯罪』と言って全否定することはできないということである」 と書いています。
しかし、ゴーンの密出国は外国人犯罪者と組んで実行した『暴挙』『裏切り』『犯罪』以外のなにものでもありません。
ゴーンが起訴されている事件と密出国という犯罪は別次元の問題なのです。出入国管理という日本の主権を脅かす密出国は、国民を危険に晒す犯罪です。日本国民の基本的人権と社会秩序への挑戦なのです。
高野隆弁護士がゴーンを擁護する気持ちは、その立場上当然であり理解できます。しかし、密出国という犯罪は厳しく批判しなくてはいけないのです。それが弁護士の使命なのです。
ゴーンは日本から密出国という罪を犯して国外逃亡しました。逃亡先のレバノンで日本の司法制度を批判していますが、それで密出国を正当化できるわけもありません。ゴーンの行為は日本の司法制度だけでなく主権への挑戦なのです。法曹界に生きる弁護士が、司法制度への挑戦に理解を示すなど言語道断ということです。
話は変わりますが、東京弁護士会は 特定非営利活動法人OurPlanet-TV という団体を「第34回 東京弁護士会人権賞」 に選定しました。 しかし、白石草が代表理事を務めるOurPlanet-TVは、福島の放射能デマで有名な団体です。
東京弁護士会は、デマと風評被害をまき散らし、福島の人々の人権を傷つける団体に「人権賞」を与えるとか正気の沙汰とは思えません。選定に関わった人に悪意がないのであればリテラシーの問題ですし、悪意があるのであればもっと問題です。
良識ある弁護士の方々がどのように対処するか見守りたいと思います。
数年前ですが定年退職される東大卒の大学教授が最終講義で、慰安婦問題を扱いました。日本が悪いと一方的な内容だったため、僭越ながらアメリカの公文書から事実関係のわかる資料を渡したところ、数日後「自分が間違っていた。教えてくれて、ありがとう。」と感謝の言葉を頂きました。数十年に渡り信じ続け、学生に教え続けていらっしゃった方です。とても誠実で真面目な方だと思います。ただ、情報の得られる環境になかった。同じような年配の方をよく見かけます。
前回、前々回同様、至極真っ当なご意見と思います。このような真っ当なことを言う人が少ない今、大変貴重な記事だと感じます、猫組長様を引き続き応援しております。