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執筆者の写真NEKOKUMICHO

最新刊『ネコノミクス宣言』 コロナ後の幸福論


『ネコノミクス宣言』コロナ後の幸福論は週刊SPA!で2016年から連載が始まったネコノミクス宣言の集大成です。


西原理恵子さんとタッグを組んで5年間の連載もついに完結です。単行本もこの完結版で3冊目となり、これでネコノミクス宣言は終了です。


私たちは今、新型コロナウイルスが猛威を振るう混沌とした時代を生きています。社会は混乱し出版業界も冬の時代を迎えました。


特に雑誌は厳しく、昨年1年間で100誌以上が休刊や廃刊に追い込まれています。

そのような出版氷河期とも言えるこの時期に、3冊目となるネコノミクス宣言単行本が出せるのは身の引き締まる思いです。



インターネットの進化とデジタルコンテンツの台頭で「紙の本」はその存在感を失いつつあります。しかし、私は読むのも書くのも「紙」に拘り続けたいと思っています。15世紀にドイツのグーテンベルグが、自ら発明した活版印刷機で「グーテンベルグ聖書」を印刷したのが冊子の始まりです。


日本では、8世紀初頭に歴史書の「古事記」、和歌集の「万葉集」が紙の書物として登場しました。それからおよそ300年後の11世紀初め平安時代中期に、世界初の長編小説である「源氏物語」が誕生します。この当時は印刷技術がまだ確立されておらず、手書きで複製する写本という手法で普及していったのです。54の章で100万文字の長編小説が、手書きによって複製されていく様は想像すらできません。


源氏物語が木版印刷という技術で広く普及するのは、さらに600年ほど後の17世紀江戸時代に入ってからでした。人による手書きで600年もの間引き継がれてきたことにも驚きですが、初出から1000年経った今もまだ出版されていることには畏怖さえ感じます。


ネコノミクス宣言は数年もすれば忘れ去られる書物ですが、それでも紙の本という物質でこの世には残ります。ウェブ上のデジタルの文字列はすぐに二次元の海へ沈んでしまいますが、紙の印刷物は長く存在し続けます。私はそこに「紙の本」が持つ普遍的な価値と存在意義を感じるのです。



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